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実は身近なSDGs 第3弾「生きづらいから生きやすいへ」

 

 世の中には、病気や障害によって生きづらさを抱えて生活している人たちがいます。この生きづらさは社会の仕組みや環境、周囲の人々の偏見によって生まれます。誰もが幸せに暮らすために、私たちにできることは何なのでしょうか。生きづらさを抱える人たちを支える市民活動団体を「SDGs〜Sustainable Development Goals(持続可能な開発目標)〜」を交えて紹介します。

 この記事は、「広報にっしん 2021年3月号」に掲載したものを、拡大版でお届けします。

 

 


 

  

 

 図書館に入ると漂ってくる美味しそうな香り。その香りに誘われてつい注文してしまうカレーを『スローカフェゆったり』で提供しているのが、『社会福祉法人あじさいの会』が運営する就労継続支援B型事業所『ゆったり工房』の利用者さんたちです。
 統合失調症などの精神疾患を持ち、生きづらさを感じる人たちがここに通い、日々の作業を通して、自立への道を歩んでいます。

 

 

 昭和53年、工房の立ち上げに関わった理事長の小林千津子さんは、統合失調症となった女性に出会いました。多才な人でしたが入退院を繰り返す度に、彼女の持っているものが失われていく姿にショックを受けたそうです。その当時は精神障害者の支援は病院だけでした。「病院ではなく地域で暮らしていくためには、医療と福祉(地域での活動)の両輪でないといけない」と、小林さんはその想いを抱くようになりました。
 平成5年に「障害者基本法」が成立し、精神障害者が障害者基本法の対象として明確に位置づけられ、平成7年には精神保健福祉法の改正により、精神障害者の社会復帰等のための福祉施策が強化されることになりました。「今、ここで作るべきだ」と、まずは豊明の保健所に通っていた利用者6人の小さな作業所からスタートし、翌年、『ゆったり工房』を開所しました。

 

 

 

 当時は病院と自宅以外に居場所がなく、人の目が怖いという気持ちもあり、作業所まで来るのも大変だった利用者さんと共に25年間歩み続け、現在は日々20数人が通い、作業をする工房になりました。
 精神保健福祉法により、精神疾患も他の障害と同じく障害手帳や障害年金がもらえるようになりましたが、平成18年の障害者自立支援法の施行は精神疾患者には厳しいもので、法律に沿っての運営が困難になったという苦労もあります。
 それでも、「生きていくためには、地域でのリハビリテーションが必要」との思いで、地域とのつながりを大切にして運営を継続されています。

 工房での作業は、一般的な下請けのものもありますが、特徴的なのは、『さをり織り』です。カラフルな糸を組み合わせて機織り機で織る布は、見ているだけで心が躍り、気持ちが明るくなります。「とらわれない心、絶対枠にはめられないゆとり、常識を破ったところから出てくる自由」という、『さをり織り』に魅せられた小林さんは、「仕事をするだけではなく、自己実現の場が必要。自分でやり遂げた仕事としてお金をもらうという営みだけではない『生きがい』が大切だ」という思いをもって、工房に取り入れました。
 長年、『さをり織り』を担当されている利用者のMさんが、精神疾患に加えて身体の障害もありながら病院に入院することなく、再発さえも乗り越えて自立して暮らせているのは、『さをり織り』の存在が大きいのではないかと感じます。
 また、Mさんは、訪れた人々に『さをり織り』の指導をすることもあります。「織るだけでなく、人に教えるという“役割”があることがとても大切です。また、自分が織ったものを誰かが買ってくれる喜びは生きる活力になっています」と小林さんは語ります。

 

 図書館で市民の休憩の場として一役かっている『スローカフェゆったり』。精神疾患者の就労の場が欲しいと思っていたところ、新図書館設立のタイミングで喫茶をやらせてもらいたいと要望を出し実現しました。
 平成24年に日進市図書館が『人にやさしい街づくり賞 特別賞』と『バリアフリー・ユニバーサルデザイン推進功労者表彰 内閣府特命担当大臣表彰優良賞』を受賞しました。その背景には、図書館という老若男女が集う場での障害者の活動が認められたこと、行政と市民活動団体とがうまく連携できていたことがあるのではないでしょうか。このような地域に開かれた活動は、「誰もが役割を持って地域の中で暮らす」ことを広く伝えることにもなっているのだと思います。

 

 「やさしい街で暮らしたい」をテーマに開催する「あじさいコンサート」。開所当初は補助金も少なく、職員の給与も出ない程の資金不足を補うためにはどうすればいいのか、解決策を模索していました。そんなとき、「歌うことで協力できるよ」という周りの人々の温かい支援で始まったイベントです。それが今では毎年開催される市の名物イベントとなりました。
 また、『ゆったり工房』の利用者で現在は非常勤職員として働いているIさんらが、自分たちと同じような経験をした人の話を聴きながらピア(当事者)同士の仲間づくりをしたいと始めたのが、「フリースペースHOPE」。昨今のコロナ禍で参加者が少ないこともありますが、居場所があることが大切との想いで、今後も活動を続けていくそうです。

 

 統合失調症などの精神疾患は、思春期以降に発症しやすいというのが知的及び身体的障害との大きな違いです。発症後の当人の戸惑いやショックは相当に大きいと想像されます。描いていた人生が一転し、目の前が真っ暗になった時に一緒に歩んでくれる、そんな場所が、『ゆったり工房』ではないでしょうか。
 小林さんと長年運営に関わっている田中さんは「『さをり織り』体験やボランティア、コンサートに来てもらい、一人でも多くの方に精神疾患の方のことを理解してほしい」と言います。お二人にお話をお聞きし、『ゆったり工房』は、さまざまな優しさにあふれるオアシスのようだと思いました。SDGsが掲げる目標の一つの『すべての人に健康と福祉を』を進める活動がまさにここにあると思います。(市民スタッフ:津田あさ子)

 

フリースペースHope
 開催日 : 毎月第2土曜日
        2020年3月13日(土) 13時30分~15時
 場    所 : 日進市にぎわい交流館
 参加費 : 100円
 
 【連絡先】 ゆったり工房
     TEL   : 0561-74-1943
     FAX  :0561-58-0516
     E-Mail    : yuttari.net

 

 

 


 

   

 

 

 「スペシャルニーズ」という言葉を聞いたことがあるでしょうか?それは特別な支援が必要という意味です。『スペシャルニーズの子ども達と共に育む会スマイル』(以降、『スマイル』)は、スペシャルニーズな子どもたちとその親御さんを支援する活動をしている団体です。

 5年前、特別支援学級に通っていたメンバーのお子さんが、通常学級に変わることになりました。通常学級は指導教員が担任の先生一人になることに不安を感じ、すくすく園を卒業したお母さんたちに相談してみたところ、皆で声をあげていこうと活動が始まりました。

 

 

 『各学校の特別支援学級について話す会』を開くと、30人程の参加があり、皆が困っていることや要望を聞くことができました。専門知識を持つ方や似たような活動をしている団体ともつながり、困りごとや要望をどこにどうやって伝えればいいのかアドバイスをもらいながら、皆の声を拾っていきました。講演会や勉強会など精力的に行い、学習障害の疑似体験会を開いたりもしました。

 

 

 

 『スマイル』の活動の一つに、情報発信のためのグループLINEがあります。現在のメンバーは90人程。講演会や勉強会の内容を発信し、情報を共有しています。
 活動を始めた当時は、市内で通級指導が受けられる学校は2校だけでした。それゆえに希望する人は在籍する学校の授業を休んで、どちらかの学校に移動し授業を受けてまた戻らなければならず、子どもたちも親御さんたちもかなりの負担になっていたと聞きます。その後の働きかけもあり、今では市内の全小学校と一部の中学校で通級指導を受けることができるようになりました。

 「一人で伝えることはなかなか難しい。必要だと感じている人たちが一緒に声を上げていくことが大事だと思います。今、市内の全小学校で通級指導が受けられるようになったのは、子どもやお母さんたちの現状とその必要性を声にしたことが少なからず影響を与えたのではないかと思っています」と代表の奥澤さんは言います。

 「講演会には親御さんだけでなく、学校の先生たちも参加してくれことが本当に嬉しかったですね」と話すのはメンバーのTさん。集客の難しさを感じつつ活動を続ける中で、そのことはとても励みになったそうです。

 『スマイル』は令和2年度の日進市補助金事業『スペシャルニーズの子ども達と共に育むあゆみ』で、4年の活動で知り得た情報を必要としている方たちに届けようと情報誌を作成しました。

 

 

 「冊子を手にした方がこの悩みや問題をどこに相談すればいいのか、少しでもその方たちの手助けになるような情報を提供したいと思っています。一人で悩まないで講演会や勉強会にも気軽に来てほしい。先輩方の経験から得たお話はとても役に立つし励みになります。周りには想像以上に助けてくれる方がたくさんいます」
 これは『スマイル』の全メンバーの思い。話を聞いていると、SDGsが掲げる最終目標『誰一人取り残さない』と一致すると感じます。『スマイル』の活動は、障害の有無に関係なく、その人が持つ特性を個性だと認め、平等に必要な支援を受けられる社会は、理想にとどまらず皆で力を合わせるとつくっていけると教えてくれます。(石原)

 

※通級指導とは
通常学級に所属し、普段の授業は通常学級で受け、障害の程度に合わせて週に1時間程度、定期的に別室で特別な指導を受ける学習スタイルのこと。社会参加と将来的な自立を促すため指導する場であって、学習の遅れを補填する場ではない。子どもの障害や特性により、指導内容が変わる。

 

座談会

子どもの学習面やコミュニケーション、進路に不安のある方はお気軽にご参加ください。
 開催日 : 毎月第4火曜日
       2021年4月27日(火) 10時~13時
 場    所 : 日進市にぎわい交流館
 
 【連絡先】スペシャルニーズの子ども達と共に育む会スマイル
      TEL   : 052-803-3888
      E-Mail  :tgof9hrm15@almond.ocn.ne.jp

                                

 

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